全国こども
チャレンジカップ
第4回全国大会
開催要項
 

 


 




ハードマザーとソフトマザー

1.「シアーズの学習理論のパラドクス」
 アメリカの心理学者、シアーズは乳児が母親に依存的であり愛着をもつのは、飢餓動因(一次的動因)の低減によって獲得された二次的動因であると主張した。(感のいい人はあれれれ???と思いますね?)つまり空腹で泣いている新生児に母親が授乳すれば、飢餓動因が低減して泣きやむ。抱き上げられて繰り返し授乳されることによって、母親自体が報酬の意味を持つようになる。つまり、母親そのものが快刺激となるわけである(二次的報酬)こうなると空腹で泣いている新生児は授乳されないのに、母親が近づいてきて抱き上げるだけで泣きやむようになる。母親が二次的報酬としての意味を持つようになると、子どもが不安や恐怖を感じるような環境におかれても母親がいるだけで安心できるようになる。もし、不安や恐怖を感じれば、母親のもとに逃げ帰るだけで、安心感を取りもどせる。このようにして依存や愛着が形成させるというのがシアーズの学説です。(シアーズさんは、ざっとこんなことを主張しました)

2.「スキンシップの実験」
 上記のシアーズの見解に対して、アメリカの霊長類研究所のハーロウ(アメリカ心理学会の会長も勤めた人です)は、アカゲザルを用いた実験による反論を展開している。(余談ですが血液型のRh式は、インドのアカゲザルの赤血球で免疫したモルモットの血清と、人の赤血球の凝集反応で陰陽を判定するんですよ。知ってました?)生まれたてのアカゲザルの子を母親から引き離し、母親の代わり二種類の代理母親をおきます。このとき母親の一方は針金で溶接したいわゆるハードマザー、もう一方は針金で溶接した上に柔らかい布切れをかぶせたソフトマザー。実験は複数のアカゲザルを半分に分け各々の母親の胸にある哺乳瓶からミルクを飲んだ。結果、どちらの母親から授乳されても子ザルが飲むミルクの量や体重の増加率といった身体発育上の差はみられなかった。しかし、布の母親と子ザルが接触している時間(いわゆるスキンシップ)は針金のそれより有意に長かった。また、授乳された母親に関係なく両群とも、ソフトマザーと一緒に過ごす時間が圧倒的に長かったとの結果も出ている。(ハードマザーから授乳された子ザルも授乳が終わると離れ、ソフトマザーの方へくっつくということである)∴針金の母親からミルクを与えられた子ザルのこのような行動は、空腹や渇きなどの一次的動因を低減してくらるがゆえに、母親への愛情が形成されるとしたシアーズの説と矛盾している。

3.「ソフトマザーの重要性」
 ハーロウはさらに、次のような実験にてソフトマザーの重要性を示した。それぞれの母親に育てられた子ザルが、母親から離れて遊んでいる時を見計らって目の前に”たいこを叩いて動き回るクマのおもちゃ”を置く。子ザルは突然現れた見知らぬものに対して恐怖を感じる。次に現れる子ザルの行動は母親のもとに逃げ帰りしがみつくという行動であるが、どちらの母親から授乳されたかには関係なく、布の母親のところに逃げ帰りしがみついたのである。子ザルはクマのおもちゃを見せられたとたんは、ひたすらソフトマザーにしがみついているが、しばらくすると、後ろを振り返りクマのおもちゃを見ることができるようになる。さらに、おそるおそる母親のもとから離れクマのおもちゃに近づいていくという行動すら見られるようになる。子ザルは恐怖を感じたとき、ソフトマザーにやすらぎや安全性を求めたものと思われ、布の母親にしがみつくことによって、精神的なストレスを解消しているものと思われる。(このような行動が人間の子どもにも見られるのは、言うまでもないことですね)以上のことより、シアーズ説の矛盾とハーロウ説の真を証明するものとする。

4、「安全基地としての母」
 上記以外にも様々な実験より、子ザルは未知のものと遭遇し恐怖を感じるとソフトマザーにしがみつき、緊張が解消されると未知のものを探索しようとする行動が起きてくるという結果が導き出される。∴ソフトマザーは子ザルにとって一種の基地のようなものであり、母親という基地があれば、子ザルは恐怖もなく積極的に探検や遊びをすることができる。布の母親が存在しない場合では、このような安定した行動は全く見られない。不安そうにキーキー鳴いたり、からだをゆすり、手や足の指をしゃぶり続けたりする。このような反応は恐怖のサインと考えられる。すなわち、子ザルにとって真の母親の条件は、ミルクを与えられるだけでは十分ではない、母親への愛情が生まれるためには、肌のふれあいと、その時に感じる”やすらぎ”が最も重要な要因であるとハーロウは考えたのである。母親への依存、愛着行動の形成には、飢餓動因の低減よりも、皮膚の接触による触覚的快感のほうが重要であるということである。

5、「キッドビクスが目指すところ」
 人間の子どもの成長をサルの子どもの成長に当てはめて考えることはできない。サルの子の成長とはいろいろな面で異なっているし、人間の母子関係の方がはるかに複雑であると考えられる。しかしながら、ハーロウの主張したスキンシップの重要性が薄くなるというわけではない。人間の子どもも母親に抱かれたり、膝の上に乗ったりすることによって、精神的な緊張を解消し、新しい未知の、子どもにとっては不安に満ちた環境に入っていけるのである。子どもが未知の環境に挑戦し克服する勇気を育むことが”キッドビクスが目指すところ”なのでは?<最後まで読破していただきありがとうございます。次回も頑張ります>

Keep it going and Please enjoy with us! 03.2/3 編集部









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